2024.10.09
#日本ワイン #wasyuコラム #コラム #細川聖香 #パリ #フランス

ワイン界をけん引する2人が対談!パリ在住日本人ソムリエール細川氏×wa-syuディレクター菊地

一時帰国中の細川聖香さんをキャッチ!世界で活躍するフリーランスのソムリエールに、フランスでの気になるあれこれを根掘り葉掘り聞いちゃいました。

リモートやメールでのやりとりだけだった細川聖香さんが日本へ一時帰国したタイミングでようやく初対面。嬉しさと少しの緊張の中で、おすすめの日本ワインを飲んでいただきながら対談スタート!

―1杯目はBookRoad~葡萄人~の「【BookRoad×wa-syu】ナイアベリーA スパークリング」で乾杯。

wa-syu菊地(以下菊地):これは東京のワイナリー「BookRoad~葡萄人~」さんに、生ハムに合うワインをwa-syuコラボワインとしてつくってもらったんです。今の日本ワインを飲んでみていかがですか?

細川聖香さん(以下聖香さん):細川聖香さん(以下聖香さん):すごく美味しいですね!やっぱり生ハムに合うようにつくられてる。塩気がいいですね、口の中をさっぱりしてくれる。日本ワインは、ボディが淡くて疲れないからいいですね。やはりフランス料理などに合わせるよりも、特有のボディの淡い感じを大切にして、料理をアレンジしていくのがいいと思います。例えば…エスカルゴにしても、バターやニンニクを減らすとか。ソースを軽やかにすると日本ワインに寄り添うと思いますね。フランスでも軽やかなワインもありますし、それに合う料理もあるので、そういったペアリングに日本ワインを提案したいと思います。

菊地:聖香さんから見てフランスワインと日本ワインの違いはどう感じますか?

聖香さん:やっぱりボディと複雑みとアルコール度数の違いですかね。これは9%ですし、11、12%が多いかなと思いますが、フランスは12、13%ぐらい。複雑みは歴史の違いもありますしね。ただ、プロヴァンスのビーチには日本ワインはいいかもしれないですし、ボルドーの浜辺で牡蠣を食べるときや、アルザスの山の中でシュークルートとか山の料理を食べるときは日本ワインがいいと思います。なので料理の提案が変わるだけであって、フランスワインみたいに複雑じゃないからダメとかではない。日本料理にブルゴーニュのシャルドネは強過ぎるのでそこはやはり日本ワインの甲州とかが最高ですし、その良さがありますよね。なので、真っ向からフランスワインと比べるのではなくてやっぱりそのいいところを探してほしいなと私は思います。

2杯目はフェルミエの「wa-syu限定】2022 ケルナー 醸し

菊地:
こちらは新潟「フェルミエ」さんの、北海道・余市のケルナーでつくるwa-syuコラボワインです。元々フェルミエさんにケルナーの白ワインはあるのですが、これは醸したバージョンをwa-syuで出させていただきました。

聖香さん:
ドライでいいですね!結構皮からくる濃厚なテクスチャーがあるから、和風のブイヤベースのような、地鶏の水炊きとかいいかも。

―ワイン勉強中の大市から聖香さんに質問です。
フランス人と日本人でワインの表現の仕方に違いはあるのでしょうか?白い花のニュアンス、のような。

聖香さん:
言葉が違うだけでほぼ一緒です。カテゴリがあって、第一アロマはフルーツ、花、スパイス、ハーブとか、、ほぼ一緒ですよ。ただ、フランス人はポエムみたいに言いたがりますね。日本だと「このワインはまだちょっと閉じてるね」とか言うじゃないですか。そこをフランス人は「ちょっとまだ人見知りしてるね」って言ったりします()。いいよ「閉じてる」でって思いますけど()。あとはボディがしっかりしているものとかも、「脊髄がしっかりしている」って日本語訳にすると少しおかしい表現もされたりします。

菊地:そういえば最近海外生活の長い日本の若い醸造家が、樽から出してすぐ試飲したら「まだリクルートスーツ着てる」って表現していて。

聖香さん:ワインがリクルートスーツ着てるってことですか?それ面白いですね()。表現というのかわからないですが、日本人でソムリエコンクールに出場される方はなんか数字を言いたがる印象があります。例えば「これは新樽が60%で、、」とか言っていて、わかるんですかそれ!?とか、ボルドーの赤ワインを飲んで、「これはカベルネ・ソーヴィニョンが60%、メルローが40%」って、すごいな!?って思います()

フランスの若者は普段ワインを飲まない!?最近のリアルなフランスワイン事情について

―3杯目はドメーヌヒデの「【ドメーヌヒデ×wa-syu】壺仕立て オレンジ 甲州 2022

聖香さん:
これすごいですね!結構漬けてるのでしょうか、、ポリフェノールをすごい感じる。結構フルーティですし、トマトのような凝縮した酸も感じる。金目鯛の塩焼き、焼き鳥は絶対合うと思うけど、馬刺しとかいいですね。みりんの甘味とも相性良さそう。

―実際のところ、フランス人はみんな本当にワインが好きなんでしょうか?苦手な人はいないんですか?

聖香さん:
やはりアルコール度数が高いので、若い人はビールやカクテルが好きな人は多いです。もちろん家に帰ると両親がワインを飲んでいるので一緒に飲むのはあるかもしれませんが、友達と会うときは飲まないかも。結構ビールが多いですよ。

菊地:
そうなんですね!

聖香さん:
フランスに来た当時10年前は夕方のカフェのテラスで白やロゼワインをみんな飲んでいたのが、特にコロナ終わってからはカクテル飲んでるイメージが強いですね。低アルコールが体にいいっていうのが出てきているのですかね。ライフスタイルが変わってきているように感じます。あとはインスタ映え?を意識する人が増えているということもありますね。

菊地:
コロナ以降、本当に世界中でライフスタイルが変わっているみたいで驚きですね。こんなリアルなお話が聞けて良かったです!

パリでの暮らし、今流行っている日本食のお店など、話が尽きない!

―聖香さんに聞きたいことがたくさんありすぎて困っているのですが、、(笑)パリでの生活の話も聞きたいですし。

菊地:
今フランスって政治的にも少し不安定に感じていて、住んでいて感じることはありますか?

聖香さん:結構ストライキが多いですね。気に食わないことがあったら溜めない主義なんでしょうね。普通に生活している分にはそこを避けて通ればいいですが、ストライキが起こると保育園が閉まることもあるので困ります。

菊地:
ストライキはどれくらいの頻度であるんですか?

聖香さん:
保育園は月1回は閉まってますね。飲食店なども営業しなくなるのでそれも困っていますが、一番つらいのは観光客ですよね。せっかく旅行に来たのにお店が閉まっている、、ということもあるので。

菊地:
フランスで生活していると精神的に強くなりそうですね、何が起きても動じないような。

聖香さん:
そうですね、確かにみんな強いかも。あとはやっぱり有名かもしれませんが、男女平等です。もちろんちょっと重たい物は男性が持つとか、お店を予約しておいたよ、というスマートに見せたい男性はいますが、基本対等な関係ですね。お会計も男性が払うということもないですし、それでモテるわけではないです(笑)。

菊地:
フランスで様々な日本食が結構食べられていると思うのですが最近どういうお店が流行っていますか?

聖香さん:
最近は唐揚げ専門店とか餃子とかですかね。個人的には嬉しいです。唐揚げは日本のファミチキみたいな感じで売られていますよ。あとは抹茶スイーツとか、フランス人が作ったシュークリームとか流行ってましたし。炭火焼も結構出てきてますかね。お肉を焼く時も炭を使うお店も増えてきています。

最後にシャトージュン「甲州 2023」を飲んでいただきながら、今のリアルなフランスでの暮らしやワイン事情、若者文化など談笑しながらお伺いでき、とても良い時間でした。聖香さんがソムリエになったきっかけや、今後の目標・それに向けての準備などのお話は、また次回の記事で公開予定です!

聖香さん、お忙しい中貴重なお時間をありがとうございました!

フリーランスソムリエ/フランス・パリ
細川 聖香(ほそかわ せいか)

2012年渡仏。語学学校へ通いながらワイン学校へ入学。卒業後は「ル・グラン・ヴェフール」、「ル・ロワイヤル・モンソー・プランス・ド・ガール」、「ル・ジュール・ヴェルヌ」など、パリの一流ホテル・レストランでソムリエとして勤務。
2019年A.S.1.(国際ソムリエ協会)認定ソムリエディプロマ取得、2021年シャンパーニュ・ランス市で開催されたコンクール ルイナール・ソムリエ・チャレンジ・フランス大会では唯一の外国人参加者の中、優勝。
現在はフリーランス・ソムリエとして、パリ市内のワイン学校でワイン講師をする傍ら、日本語での執筆活動やテイスティングイベントを開催。フランスの土地で日仏のワイン文化、料理・食生活文化をもっと深くたくさんの方に伝え、その架け橋となれるよう日々活動している。

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